ナイトミルク

 

 

匿名の第三者で安心したり 

 

 

私が石崎ひゅーいを聴き始めたきっかけはもう思い出せない。知ったのはたしか、ハイキューの限定DVD、リエーフくんが主役のお話のEDかなんかだった思う。 

 

知ったタイミングでたくさん聴き始めたわけじゃない。それこそ成人してからまた聴き始めたのだ。 

 

 

何にもない雨の夜に聞いたナイトミルクと、おっぱいと夜間飛行、僕がいるぞ…私は何度泣きそうになりながら、時に涙を零して聴いただろうか。  

 

あぁ、そうか。

ちょうど今日も、雨の夜だなぁ。そう思って再生した石崎ひゅーいを私は真っ暗な部屋の布団の上で聴いている。 

 

 

今日は涙は零れない。明日への不安がよぎってもちょっとのことでは泣かなくなった。あの時よりも少し強くなったのかもしれない。だけど、本当はずっとずっと泣きたい。 

 

何でかわからないけど泣きたい。わんわん泣いて、泣き疲れて、ずっとずっと眠っていたい。 

 

泣かないから大丈夫な訳じゃなくて、泣いても泣かなくても大丈夫じゃない。ずっと、大丈夫じゃない。 

 

 

優しいとか良い人とか言われる度にしんどいなと思う。私のこと何にも知らないくせに。 

 

 

訳の分からない被害妄想や現実逃避が始まって涙腺に刺激がきたときに流れてきたワンフレーズに、目から一筋涙が伝った。 

 

 

 

「さぁこっちむいて 

顔を上げて その涙の訳も傷の跡もわかってるんだ 

大丈夫だよ わかってるんだ」 

 

 

こういう歌を聞く度に、私は真っ暗な部屋の中で歌に寄り添ってもらう気持ちになる。優しい歌がずっと好きだ。 

 

石崎ひゅーいという人物をよく知らない。 

だけど音楽が優しいことはよく知っている。 

 

 

 

次の曲はおっぱいだってさ。 

 

あぁ、そしてまた私は夜の淵でキラキラした夜空を見て、ふんわり飛んで夜間飛行へ飛んでいく。

 

 

 

いつか私も、誰かのナイトミルクになりたいと思いながら。