ロードムービー
悲しみは全部、俺たちが壊しといた
DOUBLE SIZE BEDROOM
音楽と2人きりの部屋。初めて観た日に言っていた。
前々から名前は聴いていたけど、始めてライブで観れたのは、2019年2月17日 メメフェス、新宿Marbleでの時だった。
どこで観たかも、どの場面で泣いてしまったかも、はっきり覚えている。あのバンドはとにかくかっこよくて優しい。 最初からそう思えた。
かっこよすぎるもん観ると拳に力が入りすぎて爪食い込んでたな。そういえば。
初めて聴いた時から、何度聴いても泣いてしまう曲が、「ロードムービー」だった。
音源になっていなかったようでずっと音源になることを楽しみにしていて、CD購入以前にMVがアップされて嬉しかった。
やっぱり、って思った。
私の日々は、ロードムービーだった。
苦しんでいる自分が
悲しんでいる自分が好きだったのかもしれない。悲劇のヒロインってやつだ。
最低だと自分に言って、悲しみに酔いしれた。
だから、
「被害者ぶって歩こう 痛みに酔って泳ごう」
歌詞に震えた。怖くなった。
冒頭からまるでロードムービー、という歌詞まで一直線。私は気がついたら泣いていた。
この歌は怖くなるほど、私にとっては希望の歌だった。
「これまでの全部何一つ間違いないが、
抱えきれないならば、昨日の夢も捨てよ」
私はちょうど、仕事で大きなことを終わらせて、一番しんどい年度が終わろうとしている時であり、悲しい恋が終わった時に出会った曲だったから、この歌は私にとってそのシーンを忘れないための歌なのかもしれないな。
でも、捨てても良いって言ってくれたから、もう、良いのかなぁ。重たくて重たくて、もうずっと息切れしているもの。
私が一番好きなのは2番のサビ。
「悲しみは全部、俺たちが壊しといた。開き直り行こうぜ 誰ひとり 悪くはない
こぼした夜の続きを歌おうぜ 誰にも言わないから 君の踊りを踊れ」
涙は溢れて止まらなかった。
正当化した自分のこと、好きだったあの人、嫌いになったあいつ、全部の悲しみを、ダブサイは壊しといてくれたんだ。
誰も、誰ひとり悪くないんだって。
私のことも、悪くないって、言ってくれたと思った。
初めて観た新宿Marbleの日、ボーカルの但野さんは言った。
「自分の為に歌ってくれてると思ったら、もうそれは自分の歌なんだ」って
大好きなあの曲、救われたあの日、大切なあのバンド、色んなこと思い出した。
私の為の歌だと思っていて、良いかな。
こぼしてしまった夜も、なくてしまったあの日も、 その続きを歌えば、救われるのだろうか。
誰にも言わないで、内緒にしていてね。
私の為の歌だから。
私、間違えてなかったのかなって思ったら
少し肩が軽くなった気がした。
この先の私のことも、きっとこの歌が救ってくれる。 信じられる、優しくてかっこ良いバンドが、DOUBLE SIZE BEDROOMだった。
これからの全部、何ひとつ間違いないさ
言い切ってくれて、ありがとう。
ありがとうもごめんねも、いえないまんま、癒えないまんまで傷はそのまま、かさぶたになって傷跡になって。痛まなくても、確かにそこにあった。