デイドリーマー

 

今日という日は、いつかの僕が見た夢さ 

こんな毎日でも 

 

11月2日、この日は毎年恒例の保育園の研修会のようなものがあった。

去年のこの日の私のことを思うと、本当に涙が溢れそうになった。  

 

一年前、その研修会の後に、職場の仲の良いメンバーで飲みに行った。私は精神的にかなりダメな感じで、それが身体にも現れて体調不良なことがあった頃だった。

 

 

たかが仕事なのに

(されど仕事、なんだけどね。)

それだけで毎日死にたくなって、

大好きだった人は彼女の写真や動画をインスタのストーリーなどにアップしてラブラブしているし、 友達はたくさんライブに行っているし、

SNSで病んでいる友達を見ては私より大丈夫だろとか思って心の中で毒づいて、 

あまりの自分の最低さにまた泣けてくる、とかいう最悪の状況だった。

仕事のストレスから全てが嫌になってしまった。 

 

 

そんな時に飲みに行ったのだ。 

先輩が言った。「気分転換に人がいっぱいいるスポーツバーでナンパ待ちしよう」と。 

全然乗り気じゃなかったし、セミフォーマルの格好でそんなとこ行きたくなかったけど、半ば強引に連れて行かれた。 

 

入ってすぐに、男の人に声を掛けられた。 

「ねぇねぇ、ディズニーランドとシー、どっちが好き?」 

今思うと実にくだらない声のかけ方である。 

 

この人が後々、私の2018年の冬を最低な思い出にする人物であり、好きになってしまう人だった。 

 

みんなでその人の友達もいるというテーブルに移動したら、女子一同は完全に「ないな」ってなってたみたいだったけど、私はその声をかけてきた人とバンドの話で盛り上がった。 

某人気バンドのコピーバンドをやっているから今度ライブを観に来て欲しい。と言われて、連絡先を交換した。

みんなが帰るっていうから私も帰ろうと思ったのに、引きとめられて、結局その人と朝までどころか翌日の夜まで一緒にいた。  

 

多分、その時点でもう好きだったんだと思う。

一日一緒にいただけで、何がわかったのかわからないけど、その人が私が仕事のことを相談した時に「そんなの辞めちゃえば良いんだよ。辞めたって良いんだよ。」と言われたことに心底救われたのが、多分、引金だったように思う。

言われた時にどこの居酒屋のどこの席でどういう風に言われたかも覚えている。  

 

その時は彼女はいないと言っていた。  

信じることにした。

正しくは、なんとなく気づいてたけど、嘘をついたその人の顔を見て、嘘を信じてあげないといけないと思ったのでそれを信じるように演じた。

 

その人と連絡を取る時に、ラインを交換したんだけど、バレると面倒だからと電話番号のメッセージでやりとりをしていた。

 

数回会った後に、 

同棲している彼女がいることを話してくれた。

離婚していて、それも今の彼女との浮気が原因で、慰謝料も払っていると。元奥さんに申し訳なくて慰謝料払い終わっても拒否されない限り多く支払おうと思っていると。   

私は一生懸命分かろうと、彼のことを分かりたいという気持ちで、話を聞いた。 

全然わからない自分がいて、悲しかった。

 

隅田川沿いで、缶チューハイ飲みながら話してくれた時には、彼女には言えないということを話してくれた。それは私が彼の一番でないから話してくれた、心の奥底の気持ちとか、そういうことだった。心では理解できない話だったのに、話してくれたことがなんだか嬉しかった。

 

(この内容、前にも書いた気がするけど、まぁ許してください。)

 

 

ライブを観に行った時には彼女がいた。 

一緒に話してライブを観ているところを後ろから観て死にたくなった。

帰り道、熱っぽくて頭がグラグラして、ライブハウスから池袋駅に着くまでの間、色んなことを思うと涙が溢れて電車でもずっと一人で泣いていた。いやな予感がして、熱を測ったら38度以上あって、でもあのライブハウスの空気を身に纏う自分が心底気持ち悪くて、しんどくても無理矢理お風呂に入って、頭も体も顔も、めちゃくちゃ洗って、泣きながら布団で眠った。翌朝は目が土偶みたいに腫れて、熱も下がんなくて訳わかんなかった。 

 

クリスマス頃には連絡が取れなくなって、 

彼女が自殺未遂していたことが判明した。 

彼は、「やっぱり出会わなきゃ良かった、結局不幸にしちゃう」と言った。 

そんなの自分のせいなのに、運命のいたずらみたいな言い方することが許せなかった。 

 

その後しばらくは私は好きな人とかできなくて適当にその辺の合コンであった男の人だとか飲み屋で声をかけてきた人だとかと色々あったけど、どの人のことも好きになれなくて、いつも頭の片隅にはその最低な男と思い出だけが残って、ずっと苦しいままだった。 

 

仕事だってずっと辛かった。挨拶しても無視。子供と関わっているだけで睨むという圧。 

言葉で全てをシャットアウトされて。 

 

心はボロボロでもう死にたいと思っていた。 

バンドだけが、音楽とライブハウスだけが私の救いだった。友達だっていたけど、やっぱりいつも救ってくれるのはスーパーヒーローだったし、音楽だった。 

  

一年前の自分を救ってくれたのは音楽だった。 

 

今の自分は、仕事も恋愛も、恵まれて、去年に比べたらずっとずっと心は穏やかで、まだ傷跡はあるし隠しきれてないかもしれないけど、生傷がかさぶたや傷跡になるくらいまでにはなった。 

 

好きな人がいて、仕事中に楽しいと思える。 

 

ちゃんと、笑えてる。 

 

人から見たらもしかしたらそんな?ってことかもしれないけど、好きな人が私を好きでいてくれて、笑っていられるこんな日常が、私にとっては奇跡で、幸せで、一年前の自分からしたら信じられないと思う。 

 

拝啓、一年前の私。  

一年後には、あなたは大丈夫になってる。断言するね。でも、今は誰に何を言われてもシンゴさんやせいごさんの言葉や音楽しか信じられないかもしれないと思う。それで大丈夫だよ。 

一年後には、本当に嬉しい日々が待っているからね。 

                                                               

メメタァの新曲は、今の自分を歌ってくれている曲だった。 

 

「今日という日は、いつかの僕が見た夢さ。こんな毎日でも。」 

 

自分で書いていて泣きそうになってしまった。  

 

私、頑張って生きてよかった。ちゃんと生きて、ちゃんと出会えて、ちゃんと好きになれて良かった。辛かった分幸せがあるのは本当だったんだ。    

誰かが簡単に登れる一段を、私は中々登れなかったけど、  

息切れしながらたどり着いた。

あなたにこの日常がどう写ろうとも、

 

 

そんなのは綺麗事だと言われても構わない。 

 

 

そうやって今日も、好きな人と撮った写真とか動画を見て、嬉しくなって、安心してお昼寝して。仕事はちょっぴり辛いし、悩みはあるけど、

 

こんな毎日でも、これはあの時の私がみた夢だ。