オールドファッション

 

僕に足りないものを全部、君が持ち合わせていたんだ。悲しくなるくらい 

 

back numberのメンバーが全員既婚者になった。一言、最初の反応でショックと反射的に言ってしまったが、何か違う気がする。 

  

失恋を機に組まれたこのバンドに、何度も何度も助けられた。恋をして悲しい時も嬉しい時も幸せな時も怒っている時もしんどい時も、いつだって恋のことを歌ってくれたback  numberに救われた。 

 

高校1年生の時付き合っていた人に言ったことを覚えている。お互いに部活が忙しくてなかなかちゃんとデートに行けなかった時だった。「私ね、back numberのリッツパーティって曲が好きなんだ」

彼の反応は覚えていない。けれど確かにそう言ったのだ。

彼がその後リッツパーティは聴いたのか聴いていないのか定かではないが、私があの曲を好きだと言ったその意味を理解していただろうか。今でも偶に考える。 

その彼と別れた時は逃した魚やあとのまつりというアルバムを何度も何度も何度も聴いた。あのアルバム二枚に、私の、あの失恋は詰まっていると言っても過言ではないと思う。 

カラオケで歌っているだけで泣けた。学校や部活の帰り道、何度も一緒に行った公園に行って、back numberを聴いては一人で涙した。

 

back numberはいつだって恋を歌ってくれていたのに、なんとなくback numberを聴かなくなった。また好きな人ができて失恋して、そしたらまた思い出したように聞くのであった。 

 

最近の私は、恋人が出来た。そこからまたなんとなくback numberを聴いたら、またリッツパーティとかだいじなこととか花束とか、あ、そっか、こういう曲、良いなって思えるようになったんだなって嬉しくなった。 

 

私があんまりback numberを聴いていなかった期間、オールドファッションというシングルがリリースされた。ジャケットが可愛くて買ったけれど、正直ダウンロードした当初は全然ピンと来なかった。 

 

最近になってまたback numberを聴いたら、オールドファッションがなんとなく気になって聴き始めた。 

 

こんなに今の自分にぴったりの曲があるか。 

あんまりって思っていた自分からしたら、は?って感じだろうな。 

 

「不安とか迷いで出来ている僕の胸の細胞を 

できるなら君と取り替えて欲しかった。」

 

「デコボコしてても並んで歩けば この道が良いと思った」

 

「はずれでも 優しい答えが出せるように」 

 

「僕と見た街は夜空は、どう映っていたんだろう。君は後悔していないかな」 

 

本当に全ての歌詞が自分だった。今も寒空の下聴いていて泣きそうだ。 

 

好きな人と一緒にいたい理由は、オールドファッションに詰まっていた。 

甘くてサクサクした、あのドーナツ、実は好きなんだよ。

  

 

back numberのメンバー全員が結婚したことは、ショックだったんじゃない。失恋を経験しても幸せになれると教えてくれたことが嬉しかったんだ。歌にするほどの悲しい恋も、好きな人と一緒に居られるということも歌ってくれていたもんね。

 

あの日の失恋した私も、もしかしたら未来で失恋するかもしれない私も、今の私も、back numberは隣にいる。

一緒にいてくれてありがとう。

 

back numberの失恋ソングは、また別の意味を持ったように思った。