さよなら前夜

 

左側が無音のイヤフォンから、分かってほしかった恋の歌。 

 

youtubeのおすすめ動画に出てきてなんとなく再生したガールズバンドのMV。 

引き込まれるような声と、涙がこぼれそうになる歌詞、それから、自由に歌うボーカル。 

 

最近ずっと、好きで再生している、ヤユヨの「さよなら前夜」 

 

今の私はこの歌を聴いて、失恋した時には一番に聞こうと思った。 

 

最近、恋人と上手くいかない。何故か分からないのだけれど、私は完全にめんどくさくて性格の悪い反抗期みたいな女になっているし、恋人はきっと、出会った当初よりもずっと私のことを好きな気持ちが薄いんだろうなと感じる。どうしたら良いのかわからない。 

  

依存しないで生きる、生きがいを恋人以外に見つける、頑張る理由にしないというような難しい課題の答えは、多分私には一生提出できそうにない。 

 

さよなら前夜を聴いて涙が溢れる深夜1時、お風呂の中。 

 

「終点間際で目を開けて、今日も自分を愛せなかったと疲れた顔が窓に映ってる」

 

ふとお風呂の鏡を見る。私、本当に自分のことを好きになれない。悲しいくらいに、自分を大切にしてあげられない。クマも酷いし肌荒れもしている。大事にすることってなんだったっけ。分からなくなる。私疲れているのかなぁ。何でもないのにまた涙が出てくる。 

 

「昨日、15時1時間のまどろみを終えた君を見た時もうこの部屋に来ることはないかも知れないと思ってしまった 

自転車の鍵を漁る鞄の中には 未開封の飴 

誰に貰ったのだろう」

 

小さな小さなすれ違いで、私はこんなにもこういう事を恋人で考えるようになった。もう嫌だな。この部屋、 15時1時間のまどろみ、 自転車の鍵 、未開封の飴 、全てのワードが恋人へ繋がる。別れ話なんてしていないし、考えたことはなかったのに。 

 

「日付が変わって明日が今日になったら 嫌だな 

知らない日々が始まる」

 

美しくて儚い表現が、別れを合図する。

 

「本当に、終わっちゃうの?なんて君は言わずに頷いて今までの日々を呑気に話し出すかな。その横で私が泣くかな」 

 

ここまでの歌詞で全てが恋人と自分で脳内再生されている。怖い。なんでなんだろう。想像などしたくない。私はまた泣く。想像の中でも泣いていた。

 

「じゃあねさよならまたね なんて くだらない約束だけが残されて 2人の日々は青い痣のように薄れてしまう」 

  

2人の日々は青い痣のように薄れてしまうという表現が凄く好きだ。ぶつけた時には痛くて痛くて、それが薄れていくと同時に痛みも消えていくのだ。 

 

「テレビから流れる聴き覚えのあるメロディは甘くて切ない 誰に教えてもらったのだろう」 

 

君から教えて貰った曲を、私はきっとずっと忘れられないだろうな。 

 

この曲の題が「さよなら前夜」 

 

この夜にさよならを告げて、別れを合図する。 

 

美しくて儚くて悲しいこの曲が好きだ。 

 

あぁ、失恋したくない。きっと上手くいきますように。 

さよなら前夜に、なりませんように。 

大好きな曲に愛を込めて。