優しくしてよね

 

雨はどうやら上がったみたいだ  

坂を下る自転車の音がするから

 

このフレーズで始まる、コールスローの優しくしてよねという曲。私はコールスローの曲が好きだった。YouTubeからも聴いていたし、旧譜2枚は買っていたから音源をiPhoneに入れていた。 でも特に好きな曲というのがあって、優しくしてよねはその中には入っていなかったように思う。 

 

昨日、コールスローのライブを初めて観た。今まで観る機会を散々逃していたので嬉しかった。 

 

私の好きな曲も沢山やった。端的に言うと、何バンドも観ていた日で、他に好きなバンドが沢山いたのに完全にコールスローか優勝を掻っ攫って行った。私は何故か、「優しくしてよね」でめちゃくちゃ盛り上がっていたはずなのに気がついたら頬に涙が伝っていた。泣き笑いの表情だった思う。 

 

サビの歌詞に急に泣けてきてしまった  

 

あの娘にはもう、会えないんだ

笑い声は星の彼方 忘れた頃 また笑えるさ 

名前も知らない君に捧ぐ 春が来たら 

優しくしてよね 

 

 

あの娘で思い出す子がいた。もう笑える思い出のはずのことを思い出す。とっくに治ったと思っていた傷口が、まだ瘡蓋だったことに気づいて、慌てて隠そうとしたけれど間に合わなかった。そんな気持ちになった。あの子、元気にしているだろうか。私が心配することじゃないよな。私に恋人ができたってことしか知らないよな。ちゃんと恋人のことも話したいよ。ありがとうね、いつも心配してくれてたよね。 

元気でいてね。生きていてね。それだけで良いからって、思い出した。 

 

2月の寒い日を超えたら、もうすぐに冬が終わって春が近づいてくる。つくしんぼうもたんぽぽも、桜の花もすぐそこに。 

 

あの子と観た桜並木が好きだった。あの子のアパートは桜並木のすぐ近く。特等席だった。 

 

電車の中から見えるあの家は、もうきっと知らない誰かが住んでいるんだろう。 

 

コールスローは言う。「俺らのライブは初めてでも大丈夫。ノリとかそういうのないから、バカとアホしかいない」 

「笑って帰って欲しい!」 

 

その後のぐっどばいぶれいしょんという曲の歌詞、泣いている自分の肩を叩かれた気がした。

 

君は笑ってる時の顔の方がキュートキュートキュート!!!! 

 

 

コールスローが笑わせてくれて、思い出す気持ちがあった。最強で、優勝だ。 

 

物販を買いたくて待っていたらメンバーの人が来たので、CDとステッカーを買った。CDの値段でステッカーもつけてくれた。嬉しかった。 

「爆泣きだったね」と言われて思わず笑ってしまう。後ろでボーカルのあつしさんが「ビクトリー!!ありがとう!ピースピース✌️」としていた。このバンドのこういうところが良いなぁと素直に思った。 

 

コールスローは最高だ。 

優勝、それから、最速で胸の奥に飛び込んで来る。 こういう音楽が1人の世界を変えていくことにどれ程価値があるだろうか。ダイヤモンドなんかよりずっと価値のあるものだ。

 

 

これは、恋人と出会うずっと前の、私の心の歌。

 

 

名前も知らない君に捧ぐ 

春が来たら 優しくしてよね。