陽炎
混ざり合っては重なり合って
眠れない夜に優しさを
シンゴさんは、どんな日も誰かにとってはただの一日だと言うが、誰よりもその日をドラマチックにする力を持った人だと思う。
それは曲においても言えることで、それは私にとってTHE BOYS&GIRLSが特別だからかもしれないけれど。
今だ!という曲がメンバー脱退前ラストの新曲、陽炎は脱退後初めての新曲で、どちらもシンゴさんの曲で、何よりどちらもTHE BOYS&GIRLSの曲だ。
どちらの曲も自分にとってはドラマがあって、曲を再生すればあの時にタイムスリップできる。
今回は陽炎について書く。
冒頭で書いた歌詞に救われたことを思い出す。あれは確か、恋人との将来を考えて急に不安になって、どうしようもないのに涙が止まらなくなった、独りぼっちの夜のことだった。
独りぼっちの夜に涙を流してもどうしようもないことや、もう救いなどないかもしれないと絶望感に苛まれることは無駄なことなのだろうか。だとしても、それを無駄だと言ってしまうような人と私は近づけない。怖いから。
今だ!という曲は、シンゴさんの弾き語りCD、愛葉集に入っている。陽炎は配信音源だ。
独りぼっちの夜、鈍く光る自分のiPhoneに入っている、「どうしてもの時に聞く歌」というプレイリストを再生した。イヤフォンの音量を上げる。
陽炎は、シンゴさんは、ボイガルは、
全てを肯定する。
陽炎 揺れる2人の繋いだ手を 離さないでよ
混ざり合っては重なり合って
良いことばかりじゃないけど
陽炎 きっと2人をあの光の向こうまで
揺らめきながら煌きながら儚くも美しく
頼んだよ陽炎
この歌詞に抱きしめられた夜、私は1人じゃなくて、音楽と2人きりだった。
毎日きっと良いことばかりじゃない。
だけど陽炎は、繋いだ手を離さないように、あの光の向こうまで、多分、きっと、連れて行ってくれる。
だからきっと大丈夫になるその日まで、頼んだよ陽炎。