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誰もわかっちゃくれないていうか分かられてたまるかよ   

 

私は出会ってからというもの

この歌に救われて、

THE BOYS&GIRLSに、救われて生きてきた。 

 

大袈裟じゃなく、本気でそう思っている。 

 

2018年度の私は、職場で大変な思いをたくさんした。何度この話をするんだと思われても構わない。

ずっとそうだった。 

その前から私は色んなことに劣等感を抱えて、 

はみ出したくないのに人と違っていたくて 

好きな人と結ばれたいのに何もできなくて 

いつもうまくいかなくて 

泣き虫なのですぐに泣いてしまうような私だった。 

2018年は本当に、全てが嫌になった。 

今思うとあの時「自分は不幸だ」と思い込むことでなんとか心を保っていたのかもしれない。 

こんなことって、ある? 

 

ある日、私は職場の上司に聞かれた。 

「何が得意?これなら負けないっていうのは何?」 

すぐに答えられなかった。 

何に対しても自信喪失して、真っ暗な時だった。聞かれただけで本当に泣きそうだった。

聞かれたときに「えっと…」ってなった私を見て、その人は「じゃあ任せられない何も」ってあっさり言った。当たり前だ。

 

でも悔しかった。私は何なら一番なんだろうって、本気で考えた。 

部活をやっていた時には、絶対に誰よりも大きな声で練習に取り組むと決めていた。本当に運動神経がダメダメだから、ずっと下手くそだったけど、そこは皆買ってくれてた私の長所だったし、監督もそこは認めてくれていた。だから居場所があったし、任せられた仕事もあった。 

バイトをしていた時もこれは負けないと思うことはあった。だからそのポジションを任せられた時は張り切ったし、それも一緒に働いている人は認めてくれていたと思う。 

 

今の自分はどうだ? 

 

自分に聞いてみる。 

何にも分からなくなった。今の職場に就職して、何かが得意な人をたくさん見てきた。 

今まで自分が得意だと思っていたことや、人並みにできると思っていたことが、職場の人達を見て自信喪失して何もできなくなった。 

 

ずっと誰にも言わなかったけど、 

特に自信喪失したのは絵についてだった。 

 

私は本当に小さい時から、絵が大好きだった。自分の家でも描いたけど、特に隣の祖父母の家へ行っては広告や前の月のカレンダーの裏にたくさん絵を描いた。上手だねってたくさん褒められて描くたび描くたび、家族や幼稚園の先生、友達に見せた。 

ある日、祖父にそんなに絵が好きならと絵の具セットを貰った。貰ったのはちょうど桜の季節だった。 

一人で公園へ出かけて桜を描いた。公園のお水で絵の具を溶いた。  

本当に心底楽しかった。 

 

小学校へ入学しても、ずっと絵は好きだった。自分より上手な子がいても、ただ好きだったから気にしなかった。自由帳は月に3冊以上消費した。自由帳に漫画を描いては読んでと見せてまわった。

 

小学2年生の時には区の展覧会に私の絵が出されて本当に嬉しかった。ミニトマトの絵だった。 

近所のログハウスに飾って貰った。 

観察画を描いている時、隣で描いている子に 

「トマトに顔なんてないよ!」って馬鹿にされたけど、私は水をあげてキラキラしてるトマトが笑ってるように見えたからそう描いたんだ。 

その後も何度か私の作品は、学年から選ばれて表彰されたりした。 

 

中学でもそうなったら良かったけど、 

私の家は体育会系だったので小学校の頃からバスケや水泳や体操をやったし、 

中学で美術部に入るわけにいかなかった。 

 

でも、美術の先生に何度も言われた。 

「お前美術部に入らないか??」その時の私は目の前の部活のことにいっぱいいっぱいで 

断ったけど、あの時は入っておけば良かったかなぁ。 

中学の美術は点描画が一番得意で、色鉛筆のグラデーションも絵の具も大好きだった。  

点描画は市で表彰されたりした。

 

高校で美術の授業は選択制で、母に促されるまま美術は選択しなかった。 

 

でも、ずっと絵は描いてたし、好きだった。 

 

就職してみたら、私より絵や製作が上手な人がたくさんいた。 

もう、自分の長所じゃないんだなと思った。 

 

そんなことが全てフラッシュバックした。

 

もう、ダメになりそうだった。腐りそうだった。 

 

そういう時に帰り道で聴くのは決まって 

THE BOYS&GIRLSだった。 

24という曲は、その帰り道を思い出す曲だから、イントロのハーモニカが鳴った瞬間、もう涙腺が緩んでしまうのだ。 

 

2018年度、そんなでっかいことだけじゃなくて。毎日がしんどくて。 

職場に吐きそうになりながら向かった。 

 

雨にも負けそうで、 風にも負けそうで。

夜にも負けそうで、朝にも負けそうで。 

本当は誰かにわかって欲しかった。 

本当は誰かに歌って欲しかった。 

 

こんな気持ち、わかってたまるかとか思いつつ、わかって欲しかった。 

 

イヤホンの向こうから聴こえたあの声に 

小さく頷いて、 

 

毎日帰ったし、毎日職場へ行った。 

 

シンゴさんの声に、ボイガルの曲に、何度も何度も助けられて。  

 

一番自信を持っていたことに対して自信をなくしたし、人間なんてって思ったりしたけど、 

シンゴさんは、私の話を聞いて、「絶対に誰かが見てくれています。」そう言っていた。 

 

なんとか、信じてみようと思った。 

毎日しんどくなりながら生きている私を、「なによりロックバンドです、力をありがとう」って言ってくれたから。

あのメールは今でもずっと宝物なんだ。 

 

私は今、毎日いろんなことがあるけど、ちゃんと生きてる。 

 

誰にも気づかれないように歌ってくれた、あのロックバンドがいたから。  

 

楽しそうなあいつにも、大好きなあいつにも、 

大事な友達にも、わからないならわからなくて良い、ロックバンドの話。 

 

しんどい日にも 

誰にも気づかれないように歌っておくれ。 

私の為の歌だと思っても、許してね。