僕がいるぞ!

 

君のヒーロー、どこにいんの? 

救世主なら、目の前にいる

 

私は俗に言う、ダメ人間だと思っている。 

頑張っている風に見せて全然頑張ってない。 

 

ライブの他は本当に会いたい数名の友達と会うとき以外一人だし外に出たくないし 

朝はギリギリまで寝ていたいくせに 

夜は夜更かしをしがちだし 

ストレスが溜まると痩せるのではなく太る。

22歳を過ぎて実家暮らしでご飯も洗濯もほぼ

お母さん任せだし、 

話している人に対してお前に何が分かると思って愛想笑いしていることが何回あったか分からないし、話したこともない人に対してお前とは違うと思うことも何度もあったし、今でもある。頑張っている「つもり」なんだと誰かに言われたらきっとそうなんだろう。

 

とりあえずダメ人間感が凄いのだ。 

 

こんなダメ人間だが、私はちゃんと仕事をしている。一昨年から今年の3月くらいまで毎日怒られて悲しく毎日泣いて帰った。

 

その時出会った優しいロックバンドがいた。 

 

私は、そのロックバンドを私のヒーローだと思っている。そのヒーローは2バンドあって、 

 

これは友達の言葉を借りますが、 

1つはスーパーマンみたいな、マーベルヒーローみたいなバンドで。 

もう1つはアンパンマンみたいに隣にいてくれる系ヒーローで。

 

石崎ひゅーいさんの、僕がいるぞ!という曲は、私にとって大切な歌で、 

聴いたら必ずその大好きなバンドの人たちの顔が思い浮かぶ。 

 

だから、大切な曲なんだと思う。 

 

助けてあげる どんな時でも 

目の下の熊を森に返して 2人きりでいよう

 

フィナーレが来たら、震える君を抱きしめてあげる 

 

この歌詞にどれだけ、どれだけ助けられたかな。  

 

 

この曲、シンゴさんが札幌で歌う時があった。即、札幌行きを決めた。前日も翌日も仕事だったので初札幌だったけど弾丸日帰りで行ったし、コピーバンドのイベントだったからシンゴさんからもやめた方が良いと止められたくらいだった。

一人で飛行機は初めてで、そもそもの飛行機自体も修学旅行ぶり、初めての街、何もかも分からなかったけど、札幌に着いたら、ボイガルの歌詞に出てくる、MVに何度も出てきたあの街並みだった。嬉しかったなぁ。  

 

シンゴさんはその日、たくさんライブハウスで話してくれた。嬉しかった。 

色んな話をした。シンゴさんとあんなにちゃんと話すのは、あれが最初で最後だったように思うけど、それでも良かった。 

飛行機とか、色々心配してくれてありがたかった。 

  

その後もライブハウスで色んなコピーバンドを見た。 

本当に楽しかった。 

ずっとシンゴさんの出番を待って、遂にその時がきた。

 

シンゴさんは、いつものライブの格好でなく、革靴にシャツ、ズボンもなんだかいつものスキニーじゃなかった。  

ひゅーいさんに合わせたそうだ。 

 

一曲目が、「僕がいるぞ!」 だった。 

 

この曲を、シンゴさんが歌ってくれたことに、どれだけ意味があっただろうか。 

「ねぇ」そうやって歌い始めたその瞬間、涙が止まらなくなった。あの瞬間だけでも、札幌に来た意味があると感じた。 

 

ダメ人間な私のことさえ、スーパーヒーローが肯定してくれたように思う。 

 

僕がいるぞ!ここにいるぞ! 

助けてあげる どんな時でも 

 

この時のライブ映像など残っていないし、 

歌っている音源などもない。 

だけど私の心の中で永遠に再生される。シンゴさんの「僕がいるぞ!」が。 

心のレコーダーにしっかり焼き付いて、絶対忘れさせてくれない。  

 

終わったらすぐタクシーに乗って駅に向かわなければ、飛行機に間に合わなかった。 

涙が溢れてしまったその顔で、シンゴさんにありがとうございました。と伝えた。 

言葉を使って何かを伝えるのは難しいと本当に思った。ありがとう以上の何かを、本当はあの時、私は、

 

 

 

その後も、毎日死にたいと思いながら、「あぁ、今電車に飛び込んでしまおうか」と思ったり 

「今日から仕事いきません」とか言えたらと思ったり、本当にしんどかった。毎日職場に行く脚が重たくて、息切らして、頭がぐるぐるしたけど、 

ずっと、シンゴさんとひゅーいさんの声が聞こえてた。 

 

フィナーレが来たら 震える君を抱きしめてあげる 

5秒前 4秒前 3秒前 2秒前 1秒前 君の前 

 

いつだってすぐ側にこの歌があった。  

仕事中も、行きも帰りも、私のヒーローはここにいるから大丈夫だと思えた。 

 

 

私のヒーローは、ここにいた。 

 

どんな時も、助けて、震える私を歌声で抱きしめてくれた。 

今、ちゃんと生きているのは、 

優しい歌のおかげだったんだ。