HANDS
いつだって君のその手は
いつでも世界を変えれるよ。
大学一年生の頃、私はいじめにあっていた。
それまで友人関係は本当にある意味無難に生きていたんだけど。(部活はすごい色んな人と喧嘩したけど)
短大で、クラスが分かれていたので大学らしく無かった。二年間同じクラスで過ごすことが決まっていた。
最初に一緒にいた子達とお昼ご飯や休み時間、移動もいつも一緒にいたんだけど
私はどうにも恋愛関係の話が苦手だった。なにせ私は当時まともな好きな人もいなかったし、
彼氏だってその時点で数年いなかった。
私が無理して話を合わせようとしていることに気づいた友達がいて、その辺からおかしくなった。後はお察しの通り、どんどん1人になっていった。クラス単位で動く、しかも分野が分野だったので、人と組まないといけない場面が多くて、ただひたすらに辛かった。心も現実もひとりぼっちだった。
ロッカーに変な張り紙をされたし 無視されたし 用意した筈のものがなくなったりした。
クラスの子達は助けてくれたが、
その時点でかなり人間不信になっていたので
クラスの子達も全然信じられなくなった。
初めてお母さんに、学校に行きたくないと駄々をこねた。恥ずかしい話だ。
お母さんは笑って、「あんたがそんなこと言うなんて初めてだね、休みたいなら休みな、でも絶対負けんじゃねーぞ」
お母さんらしいと思った。お風呂場でタオル噛み締めて泣いてたことも知っていた。
お母さんは実は心配していたように思う。けど私がメソメソ心配されるのが嫌いだと知っていたのでそういう言い方はしなかった。
その代わり、私の好きそうな服をいつも私が買っているお店で買ってきたり、美味しいチーズケーキ買ってきて一緒に食べようってしたり、
私が心底しんどくてそれを隠しきれなかった日には、何も言わなかったし何も言ってこなかったのに、私の大好きなお母さんの唐揚げが夜ご飯だった。泣きながら食べたら、いつもよりしょっぱかった。
そんなある日、他のクラスで私と仲良くしてくれていた子が、「バンド好きならロッキン行こうよ!」と誘ってくれた。
それまでライブというものに行った事がなかったので半ば不安ではあったが、アーティストの一覧を見て二つ返事でオーケーした。
ひとりぼっちで数ヶ月過ごし、夏休みに突入した。2015年のひたちなか。
横浜から遠く、バスに揺られて着いた。ずっとワクワクしていた。
その2日間、観たかったのは
back number、NICO Touches the Walls、
チャットモンチー、クリープハイプ、KEYTALK、GOOD ON THE REEL、
あたりだった。今思うとなんか変な感じだけど、未だに好きなバンドが多い。
タイムテーブルを今見返したら、
WANIMAが上から3つ目の規模の小さめステージにいて驚いた。本当にバンドには何が起こるか分からないな。
1日目、予定通り回ってたのだけど、
最後はBUMPを観る気満々だった私に一緒に来た友達が言った。
「折角だから小さいステージのブルエン観てみようよ、グラス(でかいステージ)だと遠いからさ」
こいつは何を言っているんだと思った。
何故ならその時点で私はBUMPのTシャツを着て、BUMPのリストバンドまで着けていたのだ。勿論、その日に買った。
あと、話してる内容が分からずに聞いた
「ブルエンって何?バスケのチーム?」
今思うと何を聞いてたんだ私は…それはブルズだろうが。赤い牛のチームだろ。
「BLUE ENCOUNT!銀魂のOP歌ってるよ!」
言われてから納得。あ、そのバンドか!って。
結果激推しされてブルエンを観に行くことにした。銀魂の曲しか知らないけど大丈夫かな…
と不安が残っていた。
ライブ中、私たちの目の前で踊り狂うおじさんがいた。相当ブルエンが好きなんだなと思っていた。
何だか、引き込まれるようなライブだった。
今まで私が好きになった系統と全然違ったのに、凄く良いライブを観ている気がした。
MCの時田辺さんはロッキンへの思いを語っている最中に泣いていた。その日初めて観た、その眼鏡をかけたボーカルは、顔を真っ赤にして話していた。本当に感動したし、心が動いた。
今でも覚えている。本編最後の曲は、
HANDSだった。
私の心が、救われた曲だった。涙と汗で、視界不良、それでも言葉と音がどんどん流れ込んできた。
裏切られてばかりの日々に嫌気がさした?
本音を隠して、作り笑っても
涙の糸はほつれて見えているよ
私に、歌ってくれていると初めて思った。
共感とか、そういうレベルじゃない。
どれだけの人敵に回したって、
君だけを信じてる人がいるよ。
何かに気づかせてくれた気がした。
涙は止まらなかった。
いじめられていた私だったけど
信じてくれる人がいたなって、大切な人の顔が浮かんだ。
報われないその努力は、壁を扉に変えるから。
私の全てが報われた気がした。優しかった。
その一瞬で、BLUE ENCOUNTっていうバンドが大好きになった。
アンコールの手を叩いていたら、横にいた友達も泣いていた。
「初めてなのに泣いちゃったね、ライブ行こうね。」
アンコールは、「もっと光を」だった。
これから、俺らが抱きしめるよ
だから近くにおいで。
どんな時間も、どんな答えも、どんな君も
間違っていないから
もっと光を もっと光を もっと光と君が出会うように。
ずっと僕が 君を照らすから。
ボロボロに泣いた。ぐしゃぐしゃの心を救ってくれた。
帰りのバス、一カ月だけ無料だったLINEMUSICとかYouTubeで調べて聴きまくった。
また、泣けてきてしまいそうだった。宿で友達とライブの申し込みをした。
学校が始まってからも、私はその日を思い出したし、またブルエンの曲を聞けることを思うと強くなったように思った。
頑張って学校に行っていたら、クラスの子達とも徐々に話せるようになった。
それを見ていじめてた人たちは良く思ってなかったみたいだったけど、もう、どうでも良かった。
いじめの主犯だった人は、学校を辞めた。
彼氏のところに転がり込んだみたいだけどすぐに別れてしまったらしい。
私は、負けなかった。強くなれたのは紛れもなくブルエンのおかげだった。
人生で初めて行ったライブで一目惚れ、いや、
一聴き惚れをした、ロックバンドの話。
私のこの手は、私を救うことができた。
BLUE ENCOUNTっていう
強くて優しくて、ちょっと泣き虫な
ロックバンドのおかげで。