逃飛行
君が選んだBGMなら、
どんな退屈も越えていけるのさ。
私はずっと漫画が大好きだった。
ていうか、今でも好き。特に少年漫画ばかり。
スポ根ものとくくってしまえばそれまでだとは思うが、
スラムダンクに始まりあひるの空やハイキュー!!、DAYSや弱虫ペダル、僕のヒーローアカデミア等好きな漫画は沢山ある。
中でもあひるの空は自分がバスケを始めた
小学生の時から読んでいた。
インフルエンザで家で暇していた私に
先輩が貸してくれたのが最初だった。
私は身長は別段普通だったけど
何より運動神経は本当になかった。
主人公の空くんに憧れたりした。
でもあの漫画は読めばわかると思うが
憧れに届かないことも、努力が報われないことも、限界を決めることが本当にカッコ悪いことも、教えてくれた。
ナベさんの言葉やチャッキーの気持ちを、
私のことだと思った。
辞めたいという言葉が何度も過ぎった。
だから悲しいかな、私はあひるの空のスーパースター達にはなれなかったし、
かわいくてカッコ良くて頭の良いマネージャーにもなれなかった。
言うなれば、
私の立ち位置はたぶん、ナベさんだったように思う。
でも、部活は全て最後まで続けた。
今思い出してもしんどかった思い出のが多い。
何度もイヤフォン越しのロックンロールに
助けられた。
挫けそうに、折れて腐ってしまいそうになる
時にはいつだって私には歌があった。
部活を引退してからはバスケはしていない。
下手くそだったから、バスケが好きになれなかった。
私は、主人公じゃなかった。
でも
大好きだった少年漫画の主人公には
なれやしないけど、
私が選んだBGMはいつだって私を主人公にしてくれたし、
どこまでも連れて行ってくれた
ロックンロールは魔法なんかじゃなかった
だけど
いつだって私のことを
少しだけ強くしてくれた。
イヤフォン越しの歌が世界を救っていた。
イヤフォン越しのゼロ距離砲歌
数分間の天下無双は気のせいだって
分かってるんだけど、
分かってたよ。でもね。
なんだかちょびっと、ワクワクするんだ。
そうでしょ?